8万のHYKEのトレンチコート。麻子

数年前。

30歳を前にして麻子は考えていた。「そろそろ私も良いコートのひとつくらい持っておいた方がいいんじゃないか」「冠婚葬祭とまではいかなくても型がしっかりしていて、一年通して出番が多くて、普段使いも出来て、、そうだ、トレンチコートだ！」

そういえば子供の頃、大人になったら上質なボーダーニットにロールアップしたデニム（色落ちしてない）にフラットシューズとか履いて、バッグは使い込まれたバーキンかピーカブー辺り持って、そこにばさっと上質なトレンチを羽織る（腕まくり）、、そんな妄想をしていた。確か。いつのまにかすごい大人になってる。早くトレンチを手に入れなければ！

一旦思いついたら火がついて、もう早急に「いいトレンチ」が欲しくなり、それから都内に行くたび普段は入らないお高めのショップでトレンチを端から羽織り、、、数ヶ月後、とうとう買いました。結局地元のセレクトショップ。もう定番中の定番、毎年同じ形が出て毎年絶対に値下がらないでお馴染み、名盤HYKEのトレンチです。

お値段8万円。高い。高いけど、納得の逸品。めちゃくちゃ生地しっかりしてるし着方によって崩したり襟立てたり入れたり自由自在、幅広い年齢の方にも着られてて細部まで拘られてて本当に良い物なんです。わたしも買った瞬間はめちゃくちゃ満足していました。予算内で散々羽織ったトレンチの中でダントツに形綺麗だったし、何より長年この国のたくさんのおしゃれ人間が着てきたんだから間違い無いだろうと。

…結論から言います。このコートここから三年寝かされます。そして先日、やっっっとフリマサイトで売れました。56000円。もうね、いいよ。新品未使用だけど、この3年間クローゼット開けるたびに後悔と反省に苛まれていたのでね、56000円で売れたら万々歳なのよ(遠い目)2年前から出品してたからね…値下げに値下げを重ねてやっと売れたのよ、、、

なぜこんなことになってしまったのか。梱包したトレンチの入った箱を前にして、24000円分反省したいと思います。

○あれだけ欲しかったハイクのトレンチを一度も着ないまま三年が過ぎてしまった理由○

〜其の一〜 着るタイミングを逃した

→買ってすぐは値段にびびりなかなかデビューさせることが出来ず、いつのまにかシーズンが過ぎた。翌年になったら今度は熱が落ち着き、(あれ…？私これ着なくない…？)とどんどん不安になった。最終的にはもうどうせいつかフリマアプリに出すなら未使用の方が高く売れるなと開き直り、完全に着ない方向に落ち着いた

〜其の二〜そもそもトレンチが好きじゃなかった

→元も子もないんだけどそもそも「春になったらみんなベージュトレンチ着てんな！役所で支給されてんのかよ！」「我生涯就活生也…ｸｽｸｽ」等と心の中で突っ込んでいるような人間だった。あとちょうどその頃読んだ体型タイプの本で、私が該当する体型のNGアイテムにトレンチコートがあって、更にパーソナルカラーの本ではベージュNGとかも書かれてて、ちょっともうどんどん着る気が失せてった

〜其の三〜ちゃんとしたシーンでちゃんとしたコートがあればいいなというモチベーションだったけど、そもそもちゃんとしたシーンが別に無かった

 →無かった

まぁ他にも色々あるんですけど、とにかく一が全てな気がします。買ってすぐ着ない服って結局ずっと着ないことが多くないですか？翌日にすぐ着とけば違う今があったかもしれません。

しっかり反省して、次に生かしたいです。ちなみに同じシリーズで７万の靴もあります(これはまだ売れてない…)

おしまい。